オーストラリアを知ろう③ 中国経済減退や移民問題で揺れるオーストラリア経済
どうも!オーストラリアにワーホリ中のくろやんです!
今回はオーストラリアの経済について簡単に紹介します!
日本とオーストラリアは経済的に結びつきが強く、主要な貿易相手国にもなっています。
地理的に近いということもあり、オセアニアという地理区分ではありながらほとんどアジア地域といってもいいくらいです。実際サッカーに関してはアジアサッカー連盟に加盟していますしね!
経済学者ではないので詳しいことは書きませんが、オーストラリアを理解する上で抑えておきたいことを書いていこうと思います。
わいのオーストラリア経済に対する今までの知識はとにかく石炭とか鉄鉱石が多く産出されること、牛肉とか羊毛含め多くを日本に輸出しているということでした。
しかし、生活に直結したことなどはあまり教えてくれませんよね。
今回はオーストラリア経済の概要、日本との関係、生活に直結した経済の主に3つをテーマに書いていきます。
オーストラリア経済の概要
オーストラリア経済の3つのキーワードはハイブリッド型経済・中国との関係・移民政策です。それぞれについて解説するとともにオーストラリア経済の概要について紹介していきます。
「資源国」型経済+「先進国」型経済のハイブリッド型経済
オーストラリアといえばオージー牛や羊毛、色んな鉱物が取れるくらいの基礎知識は有る方もいるでしょう。
そのイメージは間違っていなくて、オーストラリアは鉱物や食料品の貿易で経済を回しています。
もともとヨーロッパ人がオーストラリアに入植したときは羊毛業が盛んに行われ、その後ゴールドラッシュを経て金や鉄鉱石などの鉱業で栄えた国です。この産業構造は今も変わらずオーストラリア経済の主要部分を占めます。
現代に関してはこういった「資源国」型経済に加え、シドニーやメルボルンを中心とした金融業や保険業を中心とするサービス業、いわゆる「先進国」型経済も経済を支える基盤となっています。非常にハイブリッドな経済構造であるというわけです。
28年間景気減退を経験していない国
「資源国」型経済と「先進国」型経済の両立というハイブリッド型経済はどちらか一方が減退しても片方がそれを補う事が出来るという事で非常に良い経済システムです。
このハイブリッド型経済構造により、オーストラリアはなんと1991年から28年間景気後退を経験しない国となっています。28年間経済成長を続けているんですね!
1991年といえばわいの生まれた年ですよ!日本で言うとバブルが崩壊し失われた20年だとか30年だとか言われている期間です。
先進国でこれだけ長い期間景気減退を経験しない国はこのオーストラリアくらいだと言われています。
オーストラリアのもう一つの特徴としては移民国家ということで、海外から多数の移民を受け入れています。そのおかげで人口は今でも順調に増え続け、現在約2500万人いる人口は2050年には3300万人、2100年には4000万人を超えると言われています。
移民国家は総じて今後も人口が増加していきます。
オーストラリアが移民国家として成り立っているのは公用語が英語、高い賃金水準、充実した社会保障が挙げられます。もともと移民を受け入れてきた歴史があるので制度として整っているというのもあるでしょう。
地理的にも人口が今後も安定して増加していくアジアに近いので、インド・中国を中心に今後もアジア諸国からの移民が増える傾向にあります。
単純に人口が多くなると内需産業も充実しますので経済も良くなっていきます。
しかし、将来は楽観的なのかというと実はそうでもないそうです。
景気減退はすぐそこ?オーストラリアが抱える経済問題
景気予想を出す各機関は軒並みオーストラリア経済が減退するのではないかと予想しています。理由は様々あるみたいですが、大きな理由は中国・住宅投資・移民に関することのようです。
中国経済の減退
まずは中国。
地理的にも歴史的にもオーストラリアと中国の結びつきは非常に強く、連日ニュースの経済コーナーでは中国に関するニュースが出てきます。
米中貿易戦争は日本でもホットな話題ですが、ここオーストラリアでも大きく報道されています。なぜなら中国経済の減退はオーストラリア経済の減退を意味するからです。
米中貿易戦争の概要についてはこちらが分かりやすく参考になります。
かつては日本がオーストラリアの対アジア経済の主要取引相手だったのが、いつの間にか中国に変わってしまっています。
経済に関するあらゆる統計を見ても大体中国だけ意味不明な伸び方をしていますが、それに伴ってオーストラリアの対アジア政策は中国にシフトしていったんですね。
中国は国内でも多くの資源が取れますが、需要が凄まじく多くの資源を輸入に頼っています。その資源の主要取引先の一つがオーストラリアであり、オーストラリアの「資源国」型経済は中国によって支えられています。
その中国が景気減退により資源需要が低下してきており、オーストラリアの「資源国」型経済に打撃を与えているわけです。
住宅バブルの崩壊
2010年頃からシドニーやメルボルンなどの大都市を中心に住宅価格が大幅に上昇しました。低金利や人口増加が原因ですが、ここに大量の中国マネーが投下され、オーストラリアは空前の住宅投資ブームになりました。
どこにでも中国マネーは行ってるんですねえ~
ことシドニーに関しては2011年に比べ住宅価格が1.8倍近くに膨れ上がっているようです。
シドニー中心部から少し南に下って行った辺りのGreen SquareやWolli Creekは今も駅前を中心にマンション建設が盛んに行われ、大体マンションの1階には中国の不動産屋が軒を連ねているのも見かけます。
わいが知らないだけでもっと色んな地域でマンション建設が進められていて、どんどん中国マネーがそこに投資されています。
ただ、ここにも中国経済の減退が影響していて、それに加え、住宅ローンの審査基準を厳格化したり、非居住者中国人の投資を規制する動きがこれらの住宅ブームに終止符を打つと言われています。
家計債務の増加
空前の住宅ブームで多くの人が住宅ローンを借り入れた結果、家計の借金が増えていきました。
それにより、家計債務が増大し、貯蓄額の低下や返済余力の低下を引き起こし、最終的には個人消費が低下していっているという現状があるようです。
日本食レストランで働いているわいの感覚では皆めちゃくちゃ頼んでお金を落としていってるなあという印象ですが、実際の個人消費は落ちているようです。
移民規制
オーストラリア経済と移民は切り離せない関係です。
ゴールドラッシュの時代から続く移民政策は、白豪主義の台頭と撤廃を経て現在も続いています。
白豪主義の撤廃後は労働力不足を補う形で政府が積極的に移民を受け入れてきました。
オーストラリアにおいては移民を受け入れることによって内需の拡大や技術移転が見込まれ経済が活発になりますし、移民たちにとっては高い賃金と手厚い社会保障を手に入れられるのでまさにWin-Winな関係です。
わいが通っていた語学学校でも、将来永住権を手に入れるために英語を勉強しているという人がたくさんいました。
永住権を手に入れるためにIELTSで一定のスコアを取らないといけないなど、道のりはそう簡単ではないですが、それでもそれぞれの国が抱える問題を考えればオーストラリアの永住権はとても魅力的なようです。
我々日本人からは想像も出来ないくらい、東南アジアや南アジアの国々はそれぞれの国内に不安定な情勢や経済状況を抱えています。ネパールの友人の話ではネパール国内は麻薬が蔓延しており、社会不安から平均寿命が短くなっているそうです。
ここシドニーに来て南アジア出身の多くの友人を得ましたが、皆口をそろえて自国の経済不安について言及します。
ただ、移民による急激な人口増加はさきほど述べた住宅価格の高騰、公共インフラの圧迫、犯罪の増加などを生みます。それに対してオーストラリア国民の不安も噴出しています。
最近では長期就労ビザの審査厳格化や年間移民上限の削減などの政策や一部の移民に対して永住権取得を条件としてシドニーやメルボルンなどの大都市での居住を認めないというような規制もあるようです。
少なからずこれらの移民に対する規制はオーストラリア経済にとってはネガティブな要素であり、景気減退の原因の一因になっています。
オーストラリアと日本の経済的な結びつき
今も変わらない重要な貿易相手先
日本とオーストラリアの経済的な結びつきは今なおとても強いです。
日本はオーストラリアから石炭や鉄鉱石、牛肉を輸入し、オーストラリアに主に自動車や自動車関連部品、精製石油を輸出しています。
輸入に関しては昔と品目に変わりはないと思います。
日常生活的にはオージー牛は日本でも定着していますしね。
ちなみにシドニーにいると恐らく走っている車の半分くらいは日本車だと思います。
タクシーはほぼ全てトヨタ、あとはマツダやホンダ、日産の自動車が多いです。こちらのテレビのCMも日本車メーカーのCMがバカスカ流れます。
愛知出身のわいとしてはトヨタすげ~!トヨタ最強~!!と嬉しい叫びです。
貿易に関する取り決めとしては2015年より日本・オーストラリア経済連携協定を発効し、それぞれの貿易品目に対する関税率の引き下げや投資・知的財産権保護に関する共通ルールを定めました。
これによりさらに円滑な貿易が進むことになりましたが、日本国内では農業・酪農業を営む人を中心に反発も出ています。関税は日本国内の産業を守るために課せられているので、それを引き下げて安くオーストラリア産の食品を売り出したら日本の食料品の売り上げが下がってしまいますからね。
観光の側面からみる日豪関係
経済と結びついているのが観光業。
訪日するオーストラリア人は年々増えています。
中でもオージーに人気なのは日本のスキー場
季節が真逆なのでウィンタースポーツが好きなオージーにとっては日本に行くことで年中ウィンタースポーツを楽しめます(オーストラリアにもスキー場はあります)
スキー場以外にも最近は訪日ブームが過熱していて、CMでも頻繁に宣伝されますし、旅行代理店でも大きく日本旅行のパンフが入口に出ています。
出所は忘れましたが、一人当たりの旅行消費額でオーストラリアは一番大きな額を支出してくれるそうです。景気が良いのもありますが、やはりオージーは金持ちが多いです。
そういえば、もうすぐ日本でラグビーのワールドカップが始まります。
ラグビーはオーストラリアでは超人気スポーツなので、それも相まって日本旅行が今ブームみたいです。
オーストラリア経済あれこれ
物価がめっちゃ高い?
オーストラリアに旅行や長期滞在する際に最初に知ることになるのが、物価の高さ。
とにかくオーストラリアは物価が高いということで日本人には知られています。
これに関しては半年シドニーに滞在した感想としては、別にそれほどでもないという感じです。
買う場所を選んで、割引セールやアプリのクーポンを活用すれば日本と同じくらいかむしろ日本より安く買い物が出来ます。
今だけの話ですが、超円高なので、円換算するとかなり安く色々買えちゃいます。
ここまで円高なのは米中貿易戦争の影響らしいですね。
オーストラリアの中国依存はかなり高いのが為替を見ても分かります。
それによってわいは泣きたくなるほどの打撃を受けています。
シドニーに来た今年の2月から20%くらい価値が下がってしまいましたからね。
今年2月の5000ドルは約45万円くらいありましたが、今となっては35万ほどです。
辛すぎますね。
【余談】急激に物価が上がったらしい歴史
バイト先に20年以上シドニーで生活をしている日本人がいますが、その人曰く、20年前のシドニーの物価は相当安かったみたいですね。
90年代後半のオーストラリアの物価は日本よりも相当安かったということです。
統計が見つからなかったので裏付けがないですが、この状況が大きく変わったのが2000年に開催されたシドニーオリンピックみたいです。
そのころのシドニーは結構ボロい車がたくさん走っていて、当時の政治家が「オリンピックがもうすぐ始まるのにそんなボロい車ばかり走っていたら恥をかく」みたいな感じで大規模な経済改革を進めていったらしいです。
どこの国もオリンピックというのは国の一大イベントなんですね。
シドニーオリンピックを契機にオーストラリアの物価は上昇し続け、ついには日本よりも物価が高いというイメージがつくまでになったようです。
お陰で今シドニーで見かける車はけっこう高級車が多いです。
日本で言うと六本木とか銀座あたりで見る高級車がたくさん走っているようなイメージです。
日本が見習うべきことは?
オーストラリア経済に関連して日本はオーストラリア経済から学ぶことは何でしょうか。
日本がこの30年間ずっと不況だったのに対して、オーストラリアはこの30年間ずっとイケイケだったわけです。
「資源国」型経済は真似できないにしても移民政策に関しては移民先進国家であるオーストラリアを参考にすることは多いと考えます。
日本でも近年、東南アジアからの出稼ぎ労働者や技術訓練生を多く受け入れるようになりました。
公用語が英語では無いにしても、比較的高い賃金と充実したインフラは魅力的です。
日本の文化に魅力を感じ、日本語を学びたいとか長期滞在したいと感じる外国人も多いのが事実です。
語学学校でも「いつか日本に行って日本語を学びながら生活したいんだ」という人がたくさんいました。
でもそのたびに「日本の移民に対する規制は厳しい」という意見も聞きます。
島国で、伝統的に移民を受け入れてきた国では無いので、やはり外国人に対する抵抗感が強いのが日本です。
東京や大阪などの大都市では訪日観光客の数が爆上がりしたので、そういった抵抗感やアレルギーは無くなってきたように見えますが、観光客ではなく、移民という形になるとまだまだ日本は敷居の高い国であることは間違いありません。
少子高齢化で人口減少が今後さらに進んでいくことは確実で、今でも労働力不足が続いている日本で、これらを解決するには移民は有効的な手段です。
わいとしては移民はもっと受け入れるべきだと思うし、それがきっかけで日本人がもっと海外に対して関心を持つきっかけになると思っています。
ただ、オーストラリアが直面している問題として、インフラの圧迫や犯罪の増加の問題も見過ごせません。
これらの問題に対してオーストラリアはどのように対処しているか。また、どうやって他民族が入り乱れる大都市圏でバランスを取りながら街づくりをしているかなど、日本は学んでいくべきだと思います。
まとめ
長い事オーストラリア経済について書いていきました。
ずっと経済成長を続けてきたオーストラリアを見るとなんか羨ましい気がします。
最低賃金も高いですし、銀行の金利は2%前後あったりですごく魅力的ですが、この国が抱える問題というのも少なからずあるわけです。
特に多民族国家になるとアイデンティティが喪失する恐れもありますしね。
どんなことにもメリット・デメリットは存在しますが日本がオーストラリアから学ぶことも多いと思います。皆さんはどう感じたでしょうか?
それではまた!